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ぶくぶくながながひのめこぞう

鈴木三重吉童話集

鈴木 三重吉

線上閱讀鈴木 三重吉《鈴木三重吉童話集(ぶくぶくながながひのめこぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 58,287 字 · 119 頁

青空文庫

そのうちにディオニシアスは、また一つ詩をつくりました。そして自分では、こんな立派な詩はちょっとだれにも作れまいと大得意になって、早速フィロセヌスを牢屋からよび出して見せつけました。フィロセヌスがその詩を読んでしまいますと、ディオニシアスは、どうだ、それでもまだ悪いというか、と言わぬばかりに、相手の顔を見下しました。

するとフィロセヌスは、何にも言わずに、くるりと獄卒の方を向いて、

「おい、もう一度牢屋へ入れてくれ。」と言いました。

ディオニシアスもこのときばかりはくすくす苦笑いをしました。そして、相手の正直なことを褒める印に、そのまま解放してやりました。

二

しかし、ディオニシアスについて伝えられているお話の中で、一ばん人を感動させるのは、怖らくピシアスとデイモンとのお話でしょう。

この二人は、どちらもピサゴラスの学徒と言って、ピサゴラスという、ずっと昔にいた学者の教えを奉じている人たちでした。

ピサゴラスという人は、どんな人で、どんなことを説いたかということは、今ははっきり分っておりません。ただ、この派の学徒たちは、すべて感情を殺すということ、その中でもとりわけ怒を押えること、そして、どんな苦しいことでも、じっとがまんするということを、人間の第一の務めだと考えていました。