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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

そして、カバンなどを、前の方へおしやり、いちばんおくのすみによこたわりました。大型の自動車ですから、足をちぢめれば、らくに、よこになれるのです。

この自動車は、どこまで行くかわかりません。どんなにながいあいだ、そこにかくれていなければならないかもわかりません。そこで、小林君は、いろいろのものを用意していました。黒いきれでつくった大きな袋を、だいじそうにかかえていたのです。その中には、探偵七つ道具や、水をいっぱいいれた旅行用のウイスキーびんや、かたパンの紙ぶくろや、着がえの服まではいっているのです。そのほかに、なんだかえたいのしれない、大きなまるいブリキかんや、こまごましたものが、いっぱいはいっていました。

小林君は、その袋の中から、針金をみょうなかたちにまげた、二センチぐらいの大きさのものを、二つとりだしました。そして、それを、自動車のにもつ入れの、ふたの両方のはしにはさんで、そっと、そのふたをしめました。すると、針金がじゃまになって、ふたは、ピッタリしまらないで、ほそいすきまがあいているのです。にもつ入れの中の空気がよごれて、息がつまってはたいへんですから、そのすきまから、空気がとおるようにしておくためです。