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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

主人の太一郎さんは、ちょうどおうちにいましたので、電話に出ますと、

「いま、村瀬というわたしの会社のものが、おじゃまするから、会ってください。くわしいことは村瀬から聞いてくださるように。」

ということでした。

まもなく、その村瀬という男がやってきました。村瀬は、三十歳ぐらいの、やせた人相のよくない男でしたが、こんいな木村さんのおつかいだというので応接間にとおして、ていねいにもてなしました。

主人の太一郎さんとあいさつをすませて、むかいあって、安楽いすにこしかけましたが、村瀬という男は、だまって、主人の顔を、ジロジロ見ているばかりで、なかなか用件をきりだしません。

「木村君からは、まだ何もきいていないのですが、どんなお話ですか。」

太一郎さんが、さいそくしますと、村瀬は、ニヤリと笑って、みょうなことをいいました。

「ぼくは、じつは木村さんのつかいではありませんよ。」

「え、それじゃ、さっきの電話は?」

「あれは、ちょっと木村さんの名をかりてぼくがかけたのです。ぼくは、こわいろがうまいでしょう。」

村瀬は、タバコの煙を、フーッと吹きだして、そううそぶいています。