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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

そこは、街灯の光が、まったくとどかない、まっ暗やみですから、けっして、悪ものに見つかる心配はないのです。

賢吉君がかくれたのを見さだめると、男はやにわに走りだしましたが、よほどつかれているらしく、あまりはやくは走れません。うしろの方からは、いきおいのよい足音がせまってきました。パッパッパッパッと、おそろしく早いくつ音です。

そっと木のみきからのぞいている賢吉君の目の前に、風をきってひとりの若ものの姿があらわれました。なんだか、はでなしまの背広をきた、ヨタモノみたいなやつです。

たちまち、にげる男に追いつきました。

「まてっ、さあ、もうにがさんぞ。きさまが鉄の箱を持ってにげたことは、ちゃんとしっているんだ。あれをこっちへよこせ。」

若もののふてぶてしいどなり声に、五十男は、よわよわしく答えています。

「鉄の箱なんておれはしらない。さあ、見るがいい。おれはどこにも、そんなもの持ってやしない。」

若ものは、五十男のからだじゅうをさがしているようすでした。しかし、鉄の箱は、とっくに賢吉君の手にわたっているのですから、どこからも出てくるはずはありません。

「ちくしょう。