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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

」

賢吉少年が、また、たずねますと、水夫は、船尾の方をゆびさして、

「あちらです。ぼっちゃんに、急用があると、いっています。」

と答えて、まっ暗な船尾の方へ歩いていきます。賢吉少年は、へんだなとおもいましたが、まさか、ハヤブサ丸に、敵がいるなんて、おもいもよらず、少年探偵団長の小林君がよんでいるとあっては、団員として、命令に、そむくわけにいきませんから、つい、うっかりと、その水夫のあとについていきました。

船尾の甲板は、気味がわるいほどまっ暗でした。すかして見ても、人かげらしいものは見あたりません。

「小林さんはどこにいるんですか。だれもいないじゃありませんか。」

すこし、こわくなって、そういいますと、水夫は、

「ほら、そこですよ、あのタルのむこうですよ。」

といって、賢吉少年の手をとりました。

見ると、三メートルほどむこうに、大きなビールのタルのようなものが、おいてあります。ふつうのビールダルよりは、ずっと大きなやつです。

小林さんはタルのかげなんかでなにをしているんだろうと、ふしぎにおもって、いそいで、そこへ近づきましたが、タルのむこうを見ても、だれもいないのです。