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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

広田は、それを見て、さてこそと、おもわず両手を、にぎりしめるのでした。

怪物のまえ足が、壁にかかりました。そして、ゴソゴソやっているうちに、やつはあと足で、すっくとたちあがったのです。まえ足は、窓のしきいにとどき、二つの目が窓の中をのぞいています。

怪物が立ったので、背中が、まともに見えるようになりました。その大きな、つやつや光る背中が、月光にてらされてぶきみにかがやいています。

そして、そこに、あのがい骨の顔が、まるでリンのように青白く光っているのです。

広田は、夢をみるここちでした。この世に、こんなおそろしいけしきが、またとあるでしょうか。

かれは、月光にてらされた、この巨大な妖虫の姿を、一生、わすれることができないでしょう。

勉強部屋の窓のガラス戸は、半分ほど、上のほうにおしあげられ、ポッカリと、黒い四角な穴になっていました。部屋の中の電灯は消えていて、だれもいないらしいのです。

怪物は、左右に、首をふって、ギロギロ光る目で、部屋の中のようすを、うかがっていましたが、やがて、そのツノのはえた首を、グッと、窓の中へさしいれるようにしました。それといっしょに、長い足を、いそがしく、動かしたかとおもうと、いつのまにか、怪物のからだは、地面をはなれて、壁をよじのぼり、グイグイと、窓の中へ、はいっていくのです