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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

しょうじのこちらがわから、そっとのぞいていますと、怪物は、まるで床の間のおきもののように、すこしも動きません。いくら待っていても、こちらへ、はいだしてこないのです。

「へんですね。あいつ、死がいじゃないのでしょうか。」

書生の広田が、廊下の戸袋のところにあった長い棒を、両手にかまえて、勇敢にも、部屋の中へ、はいっていきました。妖虫と一騎うちを、やるつもりなのです。

用心しながら、ジリジリと怪物に近づいて、いきなり、棒をふりかぶると、やっとばかりにうちおろしました。

すると、怪物はブルンと身ぶるいしたように見えましたが、べつに動きだすようすもありません。それに、なんだか、みょうな手ごたえでした。まるで、ひらいたコウモリガサをたたいたような、感じがしたのです。広田は、勇気をふるいおこして、棒をかた手ににぎったまま床の間にあがって、怪物の背中に手をかけました。そして、ゆりうごかすようにしたかとおもうと、いきなり、とんきょうな声をたてました。

「なあんだ。ぬけがらか。先生、こいつ、中はからっぽですよ。」

それをきくと、高橋さんと、書生の青木も、部屋にはいってきました。