輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ぎんざアルプス
銀座アルプス
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《銀座アルプス(ぎんざアルプス)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,830 字 · 26 頁
毘沙門かなんかの縁日にはI商店の格子戸の前に夜店が並んだ。帳場で番頭や手代や、それからむすこのSちゃんといっしょに寄り集まっていろいろの遊戯や話をした。年の若い店員の間には文学熱が盛んで当時ほとんど唯一であったかと思われる青年文学雑誌「文庫」の作品の批評をしたりしたことであった。中でいちばん年とった純下町型のYどんは時々露骨に性的な話題を持ち出して若い文学少年たちから憤慨排斥された。夜の三時ごろまでも表の人通りが絶えず、カンテラの油煙が渦巻いていた。明け方近くなっても時々郵便局の馬車がけたたましい鈴の音を立てて三原橋のあたりを通って行った。奥の間の主人主婦の世界は徳川時代とそんなに違わないように見えた。主婦は江戸で生まれてほとんど東京を知らず、ただ音羽の親類とお寺へ年に一度行くくらいのものであった。ほとんどわが子のように自分をかわいがってくれたが、話をすることがわからないので困った。自分の世界の事を相手が全部知っているという仮定を置いての話であるからわかりにくいのであった。
むすこのSちゃんに連れられては京橋近い東裏通りの寄席へ行った。暑いころの昼席だと聴衆はほんの四五人ぐらいのこともあった。