輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《鎧櫃の血(うし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,702 字 · 99 頁
この時代には神隠しということが信じられた。人攫いということもしばしば行われた。お元は色白の女の子であるから、悪者の手にかどわかされたのかも知れないという説が多かった。いずれにしても、ひとり娘を失った七兵衛夫婦の悲しみは、ここに説明するまでもない。お此はその後三月ほどもぶらぶら病で床についたほどであった。七兵衛も費用を惜しまずに、出来るかぎりの手段をめぐらして、娘のゆくえを探り求めたが、飛び去った雛鳥はふたたび元の籠に帰らなかった。
そのうちに、一年過ぎ、二年を過ぎて、近江屋の夫婦は諦められないながらに諦めるのほかはなかった。それでも何時どこから戻って来るかも知れないという空頼みから、近江屋ではその後にも養子を貰おうとはしなかった。お元が無事であれば、ことしは十八の春を迎えることになる。ゆくえの知れない子供の年をかぞえて、お此は正月早々から涙をこぼした。
七兵衛が今度の伊勢まいりは四十二の厄除というのであるが、そのついでに伊勢から奈良、京大阪を見物してあるく間に、もしやわが子にめぐり逢うことがないともいえない。そんな果敢ない望みも手伝って、長い道中をつづけて来たのであるが、ゆく先々でそれらしい便りも聞かず、望みの綱もだんだんに切れかかって、もう五、六日の後には江戸入りということになった。