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くにさだえがく

鏡花短篇集 川村二郎編

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《鏡花短篇集 川村二郎編(くにさだえがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,644 字 · 40 頁

青空文庫

木格子の中に硝子戸を入れた店の、仕事の道具は見透いたが、弟子の前垂も見えず、主人の平吉が半纏も見えぬ。

羽織の袖口両方が、胸にぐいと上るように両腕を組むと、身体に勢を入れて、つかつかと足を運んだ。

軒から直ぐに土間へ入って、横向きに店の戸を開けながら、

「御免なさいよ。」

「はいはい。」

と軽い返事で、身軽にちょこちょこと茶の間から出た婦は、下膨れの色白で、真中から鬢を分けた濃い毛の束ね髪、些と煤びたが、人形だちの古風な顔。満更の容色ではないが、紺の筒袖の上被衣を、浅葱の紐で胸高にちょっと留めた甲斐甲斐しい女房ぶり。些と気になるのは、この家あたりの暮向きでは、これがつい通りの風俗で、誰も怪しみはしないけれども、畳の上を尻端折、前垂で膝を隠したばかりで、湯具をそのままの足を、茶の間と店の敷居で留めて、立ち身のなりで口早なものの言いよう。

「何処からおいで遊ばしたえ、何んの御用で。」

と一向気のない、空で覚えたような口上。言つきは慇懃ながら、取附き端のない会釈をする。

「私だ、立田だよ、しばらく。」

もう忘れたか、覚えがあろう、と顔を向ける、と黒目がちでも勢のない、塗ったような瞳を流して、凝と見たが、