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かいひいちようちょう

開扉一妖帖

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《開扉一妖帖(かいひいちようちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,898 字 · 40 頁

青空文庫

お妻が、糸の切れたように、黙った。そうしてうつむいた。

「――魔が魅すといいますから――」

一番鶏であろう……鶏の声が聞こえて、ぞっとした。――引手茶屋がはじめた鳥屋でないと、深更に聞く、鶏の声の嬉しいものでないことに、読者のお察しは、どうかと思う。

時に、あの唄は、どんな化ものが出るのだろう。鴾氏も、のちにお京さん――細君に聞いた。と、忘れたと云って教えなかった。

「――まだ小どもだったんですもの――」

浜町の鳥屋は、すぐ潰れた。小浜屋一家は、世田ヶ谷の奥へ引込んで、唄どころか、おとずれもなかったのである。

(この話の中へも、関東ビルジングの廊下へも、もうすぐ、お妻が、水を調えて降りて来よう。)

まだ少し石の段の続きがある。

――お妻とお民と京千代と、いずれも養女で、小浜屋の芸妓三人の上に、おおあねえ、すなわち、主婦を、お来といった――(その夜、隣から襖を叩いた人だが、)これに、伊作という弟がある。うまれからの廓ものといえども、見識があって、役者の下端だの、幇間の真似はしない。書画をたしなみ骨董を捻り、俳諧を友として、内の控えの、千束の寮にかくれ住んだ。