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いんてんにほんがしょかん

院展日本画所感

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《院展日本画所感(いんてんにほんがしょかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,096 字 · 10 頁

青空文庫

もし「意味深い形」を造る事が画の目的であるならば、思い切った省略もまた一法である。自分の問題にするのはそれではなくて、むしろ画家の対象に対する態度にある。小林氏は農村の風物を写生したかもしれない。しかし氏の描くところは、農村の風物によって起こされた氏自身の情緒であって、農村の風光そのものの美しさではない。もとより画家が自らの心を通して描く以上は、いかなる対象の美しさも画家自身の内にある美であって、「対象そのものの美しさ」とは言えないであろう。小林氏の感受した美が氏の描いた情趣と同一物であるならば、自分の言うごとき区別は立てられないかもしれない。が、事実問題として、ああいう美しさが六月の太陽に照らされたほの暑い農村の美しさのすべてであるとは言えないであろう。小林氏にしてもあれ以外に多くの色や光や運動の美しさを認めたであろう。しかし氏はその内から一の情趣をつかんだ。そうしてそれを描き出すに必要でないものはすべて省いてしまった。氏はこの情趣に焦点を置いて、この焦点をはずれたものを顧みない。この態度が、右のごとき焦点をきめずに、ありのままに感得した美を描いて、おのずからに情趣を滲み出させる態度と異なっている事は言うまでもなかろう。