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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《陽炎座(かげろうざ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,381 字 · 67 頁

青空文庫

二人ばかり、十二三、四五ぐらいな、子守の娘が、横ちょ、と猪首に小児を背負って、唄も唄わず、肩、背を揺る。他は皆、茄子の蔓に蛙の子。

楽屋――その塀の中で、またカチカチと鳴った。

処へ、通から、ばらばらと駈けて来た、別に二三人の小児を先に、奴を振らせた趣で、や! あの美しい女と、中折の下に眉の濃い、若い紳士と並んで来たのは、浮世の底へ霞を引いて、天降ったように見えた。

ここだ、この音だ――と云ったその紳士の言を聞いた、松崎は、やっぱり渠等も囃子の音に誘われて、男女のどちらが言出したか、それは知らぬが、連立って、先刻の電車の終点から、ともに引寄せられて来たものだと思った。

時に、その二人も、松崎も、大方この芝居の鳴物が、遠くまで聞えたのであろうと頷く……囃子はその癖、ここに尋ね当った現下は何も聞えぬ。……

絵の藤の幕間で、木は入ったが舞台は空しい。

「幕が長いぜ、開けろい。遣らねえか、遣らねえか。」

とずんぐり者の頬被は肩を揺った。が、閉ったばかり、いささかも長い幕間でない事が、自分にも可笑しいか、鼻先の手拭の結目を、ひこひこと遣って笑う。

様子が、思いも掛けず、こんな場所、子供芝居の見物の群に来た、美しい女に対して興奮したものらしい。