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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《陽炎座(かげろうざ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,381 字 · 67 頁

青空文庫

「米が高値いから不景気だ。媽々めにまた叱られべいな。」

でも、ちょっと含羞んだか、日に焼けた顔を真赤に俯向く。同じ色した渋団扇、ばさばさばさ、と遣った処は巧緻いものなり。

「いよ、牛鍋。」と頬被。

片岡牛鍋と云うのであろう、が、役は饂飩屋の親仁である。

チャーン、チャーン……幕の中で鉦を鳴らす。

――迷児の、迷児の、迷児やあ――

呼ばわり連れると、ひょいひょいと三人出た……団粟ほどな背丈を揃えて、紋羽の襟巻を頸に巻いた大屋様。月代が真青で、鬢の膨れた色身な手代、うんざり鬢の侠が一人、これが前へ立って、コトン、コトンと棒を突く。

「や、これ、太吉さん、」

と差配様声を掛ける。中の青月代が、提灯を持替えて、

「はい、はい。」と返事をした。が、界隈の荒れた卵塔場から、葬礼あとを、引攫って来たらしい、その提灯は白張である。

大屋は、カーンと一つ鉦を叩いて、

「大分夜が更けました。」

「亥刻過ぎでございましょう、……ねえ、頭。」

「そうよね。」

と棒をコツン、で、くすくすと笑う。

「笑うな、真面目に真面目に、」と頬被がまた声を掛ける。

差配様が小首を傾け、

「時に、もし、迷児、迷児、と呼んで歩行きますが、誰某と名を申して呼びませいでも、分りますものでござりましょうかね。