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かいだん

階段

海野 十三

線上閱讀海野 十三《階段(かいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,588 字 · 32 頁

青空文庫

事務室の扉を開くと、佐和山女史はピリッとも身体を動かさなかったが、京町ミチ子だけはハッとしたように、私の方へ顔をあげ、それからニッコリと笑ってみせるのであった。そのたびに私は身体を硬くして、強いて笑顔を作るのに骨を折った。

図書室へ入った僕は、大抵、螺旋階段をのぼりきって、三階の書棚の前に立ち、並んでいる雑誌の表題や年号を幾度となくよみかえしたり、その書棚の或る一つに雑然と積みかさねられてある雑部門の珍書などを手にとってみていた。最初の考えでは、何時かも見たように、此の三階へまたミチ子がやって来るかも知れない。すると土蔵の屋根うらのように薄暗くて階段の外には出口すらもないこの室のことだから、案外彼女と静かに話でも出来るのではないかと思った。だがミチ子は遂に一度もこなかった。しかし僕は相変らずこの三階にのぼることを止めなかった、というのはこの黴くさい陰気な室が大変気に入ってしまったからである。なんとなく秘密でも隠されているような魅惑が感ぜられた。そうこうする内に、とんでもない事件が図書室の中に起って、僕はこの三階に居たため恐ろしい嫌疑を蒙らねばならないようなことが出来てしまった。