輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

がん

雁

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《雁(がん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,950 字 · 147 頁

青空文庫

よしやせつない思をしても、その思を我胸一つに畳んで置こうと決心した。そしてこの決心と同時に、これまで人にたよることしか知らなかったお玉が、始て独立したような心持になった。

この時からお玉は自分で自分の言ったり為たりする事を窃に観察するようになって、末造が来てもこれまでのように蟠まりのない直情で接せずに、意識してもてなすようになった。その間別に本心があって、体を離れて傍へ退いて見ている。そしてその本心は末造をも、末造の自由になっている自分をも嘲笑っている。お玉はそれに始て気が附いた時ぞっとした。しかし時が立つと共に、お玉は慣れて、自分の心はそうなくてはならぬもののように感じて来た。

それからお玉が末造を遇することは愈厚くなって、お玉の心は愈末造に疎くなった。そして末造に世話になっているのが難有くもなく、自分が末造の為向けてくれる事を恩に被ないでも、それを末造に対して気の毒がるには及ばぬように感ずる。それと同時に又なんの躾をも受けていない芸なしの自分ではあるが、その自分が末造の持物になって果てるのは惜しいように思う。とうとう往来を通る学生を見ていて、あの中に若し頼もしい人がいて、自分を今の境界から救ってくれるようにはなるまいかとまで考えた。