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めすについて

雌に就いて

太宰 治

線上閱讀太宰 治《雌に就いて(めすについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,994 字 · 11 頁

青空文庫

二時にもう五分しかないという、危いところで、ふと、うしろを振りかえる。」

「女は笑いながら立っている。」

「いや、笑っていない。まじめな顔をしている。おそくなりまして、と小声でわびる。」

「君のトランクを、だまって受けとろうとする。」

「いや、要らないのです、と明白にことわる。」

「青い切符かね?」

「一等か三等だ。まあ、三等だろうな。」

「汽車に乗る。」

「女を誘って食堂車へはいる。テエブルの白布も、テエブルのうえの草花も、窓のそとの流れ去る風景も、不愉快ではない。僕はぼんやりビイルを呑む。」

「女にも一杯ビイルをすすめる。」

「いや、すすめない。女には、サイダアをすすめる。」

「夏かね?」

「秋だ。」

「ただ、そうしてぼんやりしているのか?」

「ありがとうと言う。それは僕の耳にさえ大へん素直にひびく。ひとりで、ほろりとする。」

「宿屋へ着く。もう、夕方だね。」

「風呂へはいるところあたりから、そろそろ重大になって来るね。」

「もちろん一緒には、はいらないね? どうする?」

「一緒には、どうしてもはいれない。僕がさきだ。ひと風呂浴びて、部屋へ帰る。女は、どてらに着換えている。」

「そのさきは、僕に言わせて呉れ。