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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

線上閱讀壺井 栄《雑居家族(ざっきょかぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 頁

青空文庫

「夜、九時すぎたら夏樹がねるわ。そしたら迎えにいくわね。」

すると浜子は遠慮して、

「大丈夫、ひとりで帰れるわ。」

「でも、ひとりじゃあ無理だってよ。おとなりの奥さんでさえ――」

旦那さんが迎えにいく――といいそうになったのをのみこんで、

「ひとりじゃ帰れないのよ。麻酔がさめきらないからふらふらだってよ。だから、わたしがいくまでまっててね。こんなことって、何でもなさそうでも、ほんとは大変なんだってよ。」

「いいわよ。そんなとこまでおねえさんにやってこられるのいやだ。」

それを浜子のわがままや得手勝手とばかりにもとれず、それならばと音枝は一日入院の費用をもたせたのである。それもお隣りの奥さんの嘆きから得た知識である。七つをかしらに三人の子持であるとなりの奥さんは、ここのところ毎年、もしかしたら一年に二回も産児制限をしている。それがいつもおしゅうとめさんに内しょなのだ。時にはその費用のねん出に困って、安江のところへかりにきたこともある。そんなことで音枝までが事情を知っていた。子供が三人もあれば、主婦は一夜を病院のベッドでゆっくりと休むことさえできないし、おまけにしゅうとめに内しょとなると、苦労も一通りではない。