輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おしゃく
雛妓
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《雛妓(おしゃく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,482 字 · 53 頁
「コップを探してましたもんでね、どうも遅くなりました」と、言って盆に水を運んで来た茶店の老婆は、逸作が水を飲み干す間、二人の姿をと見こう見しながら、
「そうですとも、娘さんとお婿さんとでたんと泣いてお上げなさいましよ。それが何よりの親御さんへのお供養ですよ」
と、さもしたり顔に言った。
他のときと場合ならわたくしたちの所作は芝居染みていて、随分妙なものに受取られただろうが、しかし場合が場合なので、棺輿の担ぎ手も、親戚も、葬列の人も、みな茶店の老婆と同じ心らしく、子供たち以外は遠慮勝ちにわたくしたちの傍を離れていて呉れて、わたくしたちの悲歌劇の一所作が滞りなく演じ終るまで待っていて呉れた。そして逸作が水を飲み終えてコップを盆に返すのをきっかけに葬列は寺へ向って動き出した。
菩提寺の寺は、町の本陣の位置に在るわたくしの実家の殆ど筋向うである。あまり近い距離なので、葬列は町を一巡りしたという理由もあるが、兎に角、わたくしたちは寺の葬儀場へ辿りついた。
わたくしは葬儀場の光景なぞ今更、珍らしそうに書くまい。ただ、葬儀が営まれ行く間に久し振りに眺めた本尊の厨子の脇段に幾つか並べられている実家の代々の位牌に就いて、こどものときから目上の人たちに聞かされつけた由緒の興味あるものだけを少しく述べて置こうと思う。