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あめ
雨
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《雨(あめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,421 字 · 60 頁
雀斑だらけの鼻の低いその嫁と並べてみてお君の美しさは改めて男湯で問題になり、当然のことゝして、お君の再縁の話がしば/\界隈の人たちから金助に持ちかけられたが、その都度、金助がお君の意見をきくと、例によって、「私はどうでも宜ろしおます」という態度であったから、金助は、軽部の時とちがって今度はその話を有耶無耶に葬ってしまった。お君はときどき軽部の愛撫から受けた官能の刺戟を想い出し、その記憶の図を瞼に映して頭を濁らすのだったが、そのたびに、ひそかな行為によって自ら楽しむ所があった。見習弟子はもう二十才になっていて、夏の夜なぞ、白い乳房を豹一にふくませながらしどけなく転寝しているお君の肢態に、狂わしいほど空しく胸を燃していたが、もと/\彼は気も弱く、お君も勿論彼の視線の中に男を感じたりはしなかった。
五年経ち、お君が二十四、豹一が六つの年の暮、金助は不慮の災難であっけなく死んでしまった。その日、大阪は十二月末というのに珍らしく初雪がちらちら舞っていた。豹一の成長と共にすっかり老いこみ耄碌していた金助が、お君に五十銭貰い、孫の手をひっぱって千日前の楽天地へ都築文男一派の新派連鎖劇を見に行ったその帰り、日本橋一丁目の交叉点で恵美須町行の電車に敷かれたのである。