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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《雨あがる(あめあがる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 頁
明くる日は同宿者のうちから三人出立していった。タガ直しの源さんの女房は、背負った子供を揺りあげしながら、「もうお眼にかかれませんわねえ、どうかお二人ともお大事になすって下さいましよ、御出世をなさるようにお祈り申しておりますからねえ、ほんとにいろいろと御親切にして頂いて、お世話さまでございましたよう」
こう云って袖口で涙を拭いた。
「みなさんが定って、もうお眼にかかれないと仰しゃるのね」おたよがあとで云った、「――これまでも定ったようにそう仰しゃいましたわ、どうしてまたいつか会いたいと仰しゃらないのでしょうか」
伊兵衛はさあねと云って、うろたえたように眼をそらした。
――あの人たちには今日しかない、自分自身の明日のことがわからない、今いっしょにいることは信じられるが、また会えるという望みは、もつことができないのである。
それは旅を渡るかれらに限ったことではない、人間はすべて、……こんなふうなしめっぽい感想がうかんだからであった。
夕方になると新たな客が五人来た。中に猿廻しがいて、夕食のあとで猿に芸をさせてみせ、自分でも諸国の珍しい鄙唄などうたった。