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あめをふらすはなし
雨を降らす話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《雨を降らす話(あめをふらすはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,519 字 · 25 頁
この場合も過冷却は必要であるが、零下三十七度というような低温は不必要で、例えば零下十五度とか十度とかいう寒さでよいであろう。試験管内では零下三度くらいでも凍るのである。
この線に沿って、いろいろな塵埃を過冷却した雲粒にくっつけて氷晶を作る実験を行なった。これを「種蒔き」といっているが、水滴が直径百分の一ミリくらいの小さいものであるから、種の方は、そのまた百分の一ミリくらいの極微な塵である必要がある。冷蔵箱内の温度をいろいろな低温にしておいて、その中に息を吐きこみ、その湯気の中に各種の微粉をまいてみた。そして零下十度くらいで氷晶が出来るような粉がないかと、探したのである。
煙草の煙、各種の土の埃、いろいろな薬品の粉末、その他あらゆる粉を、合計何十種もためしてみたが、なかなかそういう粉は見付からなかった。ところがそのうちに気のついたことは、氷と同じ結晶型の物質を使ったらどうかという点である。結晶系と結晶格子の大きさとが、氷とよく似ていれば、水の分子は、氷の結晶かと思って凍りつくかもしれない。そういう考えでいろいろ探してみると、沃化銀が、氷と同じく六方晶系に属し、かつ結晶格子の大きさも、一パーセントくらいしか違わないことがわかった。