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あめをふらすはなし
雨を降らす話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《雨を降らす話(あめをふらすはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,519 字 · 25 頁
ウォータールーのあとでもそうであったという。このいわば伝説を確かめるための一番大がかりな実験は、アメリカでもう五十年も前に試みられている。雲粒結合の理論が出たよりもずっと昔の話である。テキサスの沙漠地帯で一日がかりで、雲を砲撃したことがある。無数の大砲弾の他に、爆弾を四百七十五発爆発させ、爆発性のガスをつめた気球を六十八個とばし、合計六百五十トンの火薬を消費する大実験を行なった。この場合は、一日中このようにして雲を撃って、夕方になって、ようやく二、三滴の雨が降ったという話である。日本でも、明治の中期頃、九州に大旱魃があった時に、師団に頼んで実弾演習をしてもらったことがある。その時は、全然雨が降らなかったという記録が、旧い『気象集誌』に出ている。要するに、大気に単なる機械的攪乱を与えて、雨を降らそうという試みは、まだ成功した例がないようである。
大気の攪乱の他に、帯電した砂を雲の中にまいて、それで雲粒を結合させようという実験も、方々で行われた。巧く正帯電の雲粒と負帯電の雲粒とが出来れば、互いに結合してもいいわけである。或いは帯電の作用で水滴の蒸気圧が変化して、そのために水滴が成長するというようなことが、起るかもしれない。