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ゆきだるま

雪だるま

小川 未明

線上閱讀小川 未明《雪だるま(ゆきだるま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,203 字 · 5 頁

青空文庫

こんなに暗く遅いのに、そして寒いのに、独りで外へ出ているのだろうか……。ああ、きっとお化けにちがいない!」次郎は、こう思うと、頭からふとんをかむりました。そして、息の音を殺していました。翌日起きてから外に出てみますと、圃の中には、昨日つくった雪だるまが、そのままになっていました。雪だるまは、ハーモニカを口に、往来の方を見守っていました。そこへ、勇吉がやってきました。

「次郎ちゃん、おはよう、雪だるまは凍って光っているね。」

「夜中に、勇ちゃんは、外に出て、ハーモニカを吹いた? 僕は、夜中に、ハーモニカの鳴るのを聞いたよ。」

「うそだい。だれが、そんな夜中に、ハーモニカを吹くものか?」

「そんなら、きっとお化けだよ。」

「お化けなんか、あるものか、次郎ちゃんは、夢を見たんだよ。」

「だって、僕は、ハーモニカの音を聞いたよ。」と、次郎はいいましたけれど、勇吉は、ほんとうにしませんでした。

その日の夜のことであります。次郎は、ふたたび夜中に、ハーモニカの音を聞きました。こんどは次郎は、だれが吹いているか、それを見ようと、勇気を出して、戸口まで出てのぞいてみました。