輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ゆきとどろ

雪と泥

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《雪と泥(ゆきとどろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,993 字 · 40 頁

青空文庫

彼は浅草のほうへ向って歩いていた。極度にまで緊張し続けた三日のあいだに、顔色は悪くなり、頬がこけていた。眠りもよくとれなかったので、眼が腫れぼったく充血し、唇は白く乾いていた。――寺町へかかるちょっと手前で、折之助はまた立停った。――すぐ右側に居酒屋があり、そこから魚を焼く香ばしい匂いがながれて来た。彼はにわかに空腹と酒の酔いを唆られた。

「伊丹に借りたのがある」

三日まえにも、茶屋の勘定はおしのが払った。払うときにみると、彼の持っているだけでは足りないようであった。それで、伊丹から借りたものはそのまま持っていた。

――此処なら足りないようなことはないだろう。

もちろんそんな店へ入るのは初めてである、ちょっと気後れはしたが、思いきって縄のれんをくぐった。

客は三人ばかりいたらしい、だが折之助は誰の顔も見ないようにして、焼魚を肴に、酒を三本飲んだ。味もなにもなかったし、酔いもしなかったが、三本めの終りころに、思いがけない妙案がうかんできた。

「そうだ」彼はわれ知らず独り言を云った、「その手があったんだ、番頭の佐平も顔を知っているし、うまくゆけば……」