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ゆきのよる
雪の夜
小林 多喜二
線上閱讀小林 多喜二《雪の夜(ゆきのよる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,967 字 · 31 頁
龍介もそう言いながら赤くなった。
「お客さんだもの……」
女は単純に答えた。龍介はちょっとつまった。
「貞操を金で買うんだよ……」
「そんなこと……」
「へえそんなこと……」彼もちょっとそう言わさった。
「乱暴なお客さんでもなかったら、別になんでもないわ」
「フーン。初めての時はどうだった。恐ろしくなかったか?」
「そうねえ……」女は独りで酒をついで飲んた。「でも、変ねえ、そんなこと、いちいち、なんだか私話すのイヤになった。……」
「大切な女の宝を失くすのだと思って……」
「もう話さないもの」女は彼を見て、クスクス笑いだした。
「話してくれ。――」
「イヤねえ。――そう、初めのうち少し極りが悪かったぐらいよ」
女はブッキラ棒に言って、「もう何も言わないよ。その代り今度来たら話す」
「――もう来ないよ。その手に乗るもんか」
女は女体を振っておおげさに笑った。龍介は不快になった。そして女が酒を飲んだりしているのをだまって腰をかけたまま見下していた。首にぬってあるお白粉がむらになって、かえって汚い、黒い感じを与えた。髪はやはりまだ結っていなかった。ものを食うたびに薄く静脈のすいてみえているコメカミが、そこだけ生きているようにビクビク動いた。