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ゆきおんな
雪女
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《雪女(ゆきおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,202 字 · 5 頁
女はその時はじめて巳之吉の貌に気が注いたようにした。巳之吉は田舎に珍しい童であった。
「この事を何人にも話しちゃいけないよ、もし話したら、お前さんの命はないよ、判ったね、忘れちゃいけないよ」
女はそのまま巳之吉を放れて戸外へ出、降りしきる雪の中へ姿を消していった。
巳之吉ははね起きた。そして、戸をぴしゃりと閉めて、背でそれを押えながら茂作の方を見た。
「も、も、茂作さん」
茂作は返事をしなかった。巳之吉はおそるおそる茂作の傍へ往って、茂作を揺り起そうとしたが、茂作は氷のように冷く硬ばっていた。巳之吉はその場に倒れてしまった。
翌朝になって、巳之吉は船頭に気つけの水を飲まされて我れに返った。船頭は村の者を呼んで来て、ともども巳之吉をその家へ運んで往って、事情を聞いたが、巳之吉は何も云わなかった。
巳之吉はそれから永い間床についていたが、やっと体の具合がよくなったので、一人でまた森へ通うようになった。そして、渡頭の船頭小屋の傍を往復するたびに、白い衣服の女の事を思いだして恐れた。
そのうちに一年ばかり経った。それは木枯の寒い夕方であった。巳之吉は森からの帰りに渡船に乗ったところで、風呂敷包を湯とんがけにした田舎娘が乗っていた。