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でんきぶろのかいしじけん

電気風呂の怪死事件

海野 十三

線上閱讀海野 十三《電気風呂の怪死事件(でんきぶろのかいしじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 頁

青空文庫

「由蔵の部屋の持物を全部洗ってみろ、女の持物が出て来るかも知れないからな」

梯子を降りかかった刑事の一人は、そう云われて直に再び部屋へ取って返した。

やがて五分も経ったと思われる頃、その刑事は由蔵の部屋から顔を出して勢いよく答えた。

「主任、ありました。何だか、おかしなものが出ましたぜ!」

「ふむ、そうか、何だね?」と主任の声。

「ま、ちょいと来て御覧なさい!」

刑事は頬の辺りを変に歪めて、いやらしい笑いを見せた。赤羽主任は云われるままに梯子を昇って行ってみた。

室の中央に投げ出された柳行李の中に、一杯女の裸体写真が詰まっていたのだ。それは主にサロンの安っぽい印刷になる絵葉書や、新聞雑誌の切抜らしいものばかりであったが、更にその奥の方からは、独逸文字の学術的な女の裸体研究書などが出て来た。が、それにも拘らず、目的の女の着衣は部屋の何処にも見当らなかった。

然し、斯うなると、由蔵に就ても余り軽々しく考えられなくなって来た。何故なら、それらの持物でも判るように、由蔵は立派な変態性慾者であるに違いなかったからである。

暫くして、又刑事は押入の隅から望遠鏡のサックを曳っ張り出した。