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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《電気風呂の怪死事件(でんきぶろのかいしじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 頁
先ず彼は、日頃おさおさ怠りなく向井湯の内外を研究し、それに、特有の肉体美を備えた若い婦人を一人選んで、彼女の入浴の際、特殊の方法で惨殺しようと計画した。
事件のあった日の暁、彼は自家の売品たるフィルムを一本と現像液を準備して、それに店にあった小形撮影機を一台と、パンや蜜柑などの食料品、束髪の西洋鬘などを一緒に風呂敷に包み、向井湯の裏口へ赴いた。そして物蔭に隠れて種々と様子を窺ったのち、午前十時頃、由蔵の隙を窺ってその部屋から天井裏に忍び込んだ。彼が斯く忍び込むまでには、充分の用意と研究が積まれてあったことは勿論である。彼は、先ず汽罐を開けて自らの着衣と下駄とをその中に投入して燃やし、由蔵の部屋で由蔵の着衣をそのまま失敬して天井裏に忍び込んだのであった。
彼は、勿論相当の電気知識を備えていた。故に、男湯の方の感電を計画し、またそれを遂行するための技術上の操作は、十分間も要さずに易々と行われた。それが終ると、彼はかねて探って置いた、由蔵の秘密の娯しみ場所たる、女湯の天井の仕掛のある節穴の処へ来て、由蔵が設置した望遠鏡の代りに、持って来た撮影機を据えつけた。