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れいこんだいじゅうごうのひみつ

霊魂第十号の秘密

海野 十三

線上閱讀海野 十三《霊魂第十号の秘密(れいこんだいじゅうごうのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,100 字 · 86 頁

青空文庫

一人の男が、ぼろを頭の上からまとって棕梠の木にもたれて、ふところの奥の方をぼりぼりかいていた。隆夫のたましいは、その男の顔を見たとき、

「おやッ」

と思った。どこかで見た顔であった。

大奇遇

隆夫のたましいは、そのあわれな人物の顔を、何回となく近よって、穴のあくほど見つめた、彼は、そのたびにわくわくした。

「どうしても、そうにちがいない。この人はぼくのお父さんにちがいない」

隆夫の父親である一畑治明博士は、永く欧洲に滞在して、研究をつづけていたが、今から四、五年前に消息をたち、生きているとも死んだとも分らなかった。が、多分あのはげしい戦禍の渦の中にまきこまれて、爆死したのであろうと思われていた。その方面からの送還や引揚者の話を聞き歩いた結果、最後に博士を見た人のいうには、博士は突然スイスに姿をあらわし、一週間ばかり居たのち、危険だからスエーデンへ渡るとその人に語ったそうで、それから後、再び博士には会わなかったという。

では、スエーデンへうまく渡れたのであろうか。その方面を聞いてもらったが、そういう人物は入国していないし、陸路はもちろん、空路によってもスイスからスエーデンへ入ることは絶対にできない情勢にあったことが判明した。