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れいこんだいじゅうごうのひみつ
霊魂第十号の秘密
海野 十三
線上閱讀海野 十三《霊魂第十号の秘密(れいこんだいじゅうごうのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,100 字 · 86 頁
尊き呪文がなされているその最中に、他の事を思いわずらっては、聖者に対し無礼となるのは分り切っている。慎まねばならない。
呪文の最後のことばが、高らかに聖者の口から唱えられ、そのために、この部屋全体が異様な響をたて、それに和して、何百人何千人とも知れない亡霊の祈りの声が聞えたように思った。治明博士は、気が遠くなった。
「これ、起きよ、目ざめよ。旅の用意は、すべてととのった。これ一畑治明。汝の供は、既に待っているぞ。早々、連れ立って、港へ行け」
聖者の声は、澄みわたって響いた。治明博士ははっと気がついて、むくむくと起上ると、あたりを見まわした。
そこは、はじめ登っていた域壁の上であった。夜は既に去り、東の空が白んでいた。そこに立っているのは治明博士ただひとり……いやもう一人の人物がいた。
「君は」
と、治明博士は、横に立っていた褐色の皮膚を持った痩せた男へおどろきの目を向けた。どこかで見た顔ではあるが……。
「お父さん、ぼくですよ。隆夫ですよ。ぼくは、さっきから、このとおりロザレの肉体を貸してもらっているのです。これで元気になりましたから、早く戻ることにしようよ」