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ろはんせんせいとかがく
露伴先生と科学
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《露伴先生と科学(ろはんせんせいとかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,198 字 · 15 頁
といったら、如何にも意を得たというような御返事であった。先生は『神祇論』のような按排に、自然と人間とをこめた世界での界面論をいろいろ話された。
露伴先生が原子核物理学の専門書を読まれ、界面現象に興味をもっておられたということは、知らない人が多いであろう。ところが先生の科学に対する情熱は、実は鑑賞家の態度に止らず、実践の域にまではいっていたのである。小林君の話によると、曩の日の先生は、写真に凝り、鉄砲に熱中し、一時は鍍金にまで手を出して、いろいろ研究をされたことがあるそうである。先生の釣はかなり有名であるが、その釣の方法も全く科学的であった。それは川の水理や水温をくわしく調べる程度に止まらず、魚の心理までも研究されたそうである。鱸のことをいろいろ調べて、貝殻の破片のような形の小さい鏡を釣針の近くにつけて試みられた。ところがそれをぽいと放り込んだ途端にぐいとかかって大きい鱸が釣れたので、「恐ろしくなって」その釣は止めてしまわれたという話である。何だかシバの女王時代のような話であるが、小林君から聞いた話であるから、根拠のある話であろう。
露伴先生の科学は、普通の量的な計算をすれば、先生の全貌のほんの僅かな一斑点くらいにすぎないであろう。