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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁

青空文庫

だから、彼女を招聘するために、自分でも不思議なほど熱心になれたのだった。経営者の眼の色に彼女への野心を見て、狼狽したのも無理はなかった。なんのことはない、経営者の好奇心を満足さすため努力したようなものだと、佐古はがっかりしてしまった。

売り上げの額がいつもの三倍にもなった大成功ながら、佐古は昨夜欝々としてたのしまなかった。(おれが儲けるわけではあらへん)全部経営者のふところにはいる金だと思えば、阿呆らしかった。おまけに、村口多鶴子も経営者の女になってしまうのだ。いまいましかった。

他の人は知らず、経営者にだけは佐古も頭が上らなかった。張り合う気などとても持てなかった。可哀相に佐古は昨夜一晩中無気力な嫉妬に苦しんで、眠れなかったぐらいであった。が、今夜の佐古は昨夜よりいくらか変っていた。村口多鶴子を諦めるのは未だ早いと思ったのだ。諦めるわけもなかった。経営者と張りあう気持が少しだが生れて来たのだった。いわば、経営者へのひそかな反抗だった。この反抗心は今日店へ来て多鶴子の姿を一眼見た途端、いきなりふくれあがったのだ。

(経営者も糞もあるもんか? 馘首にするならしやがれ。