輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁

青空文庫

門衛の方を覗くと、そこに自分の名前を書いた紙片が貼出されてあった。はいって自分宛の手紙を受け取った。手紙は母から来たもので、彼は塾長に知れることを警戒して、いつも学校宛に手紙を送って貰っていたのだった。案の定、五円紙幣が二枚、べったりと便箋にはりつけてあった。為替を組むことを知らないのである。お君は豹一が塾で授業料や書籍文房具代のほかは月一円の小遣しか貰っていないと知ると、内職の針仕事で儲けた金を豹一に送って来るのだった。そのため豹一は小遣には困らなかったが、そのたびに胸を刺される思いがした。

豹一はひとけの無いグラウンドに突っ立って紙幣を便箋からはがしてポケットへねじこんだ。手紙はあとで読むことにした。何か母親の手紙を読むのが怖いのである。暗くて字が読めぬのを口実にした。

グラウンドの隅に建っている寄宿舎はわりに静かだった。皆んな夕食後の散歩に出掛けたらしかった。記念祭が近づいたので誰もそわそわして落ち着かず、新入生の歓迎コンパだと称して毎晩のように京極や円山公園へ出掛けて行くらしく、その自由さが豹一には羨しかった。

ふと振り向くと、東山から月がするすると登っていた。