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『しゅっけとそのでし』のついおく

青春をいかに生きるか

倉田 百三

線上閱讀倉田 百三《青春をいかに生きるか(『しゅっけとそのでし』のついおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,413 字 · 190 頁

青空文庫

実際イデアリストの道は危険の道であり、私自身恋愛のために学生時代にひどい傷をつくって、学業も半ばに捨て、一生つづく病気を背負ったような始末である。私は青年学生に私の真似をせよと勧める勇気はもとより持っていない。しかしそれだからといって、学業を怠らぬよう、眠られぬ夜がつづかぬよう、社会や、家庭の掟を破らぬよう、万事ほどよく恋愛せよというようなことを忠告する気にはなれない。生命にはその発動の機微があり、恋愛にはそれ自らのいのちがある。異性を恋して少しも心乱れぬような青年は人間らしくもない。「英雄の心緒乱れて糸の如し」という詩句さえある。ことにその恋愛が障害にぶつかるときには勉強が手につかないようなこともある。ことには恋愛に熱中し得る力は、また君につくし、仕事にささげ得る力であることを思えば、生ぬるい恋の仕方をむしろしりぞけたくなる。だからこれは恋する力が強いのが悪いのではなく、知性や意力が弱いのがいけないのだ。奔馬のように狂う恋情を鋭い知性や高い意志で抑えねばならぬ。私の場合ではそれほどでもない女性に、目くもって勝手に幻影を描いて、それまで磨いてきた哲学的知性もどこへやら、一人相撲をとって、独り大負傷をしたようなものだ。