輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ひじょうのあい

非情の愛

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《非情の愛(ひじょうのあい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,831 字 · 24 頁

青空文庫

彼女は素直に握手に応じた。波多野は秦にいった。

「秦君、あらためてこのひとを紹介しよう。魚住千枝子といって、僕の母の遠縁に当るひとだ。長く僕の家に同居している。僕は君のおかげで、このひとをはじめて見出したような気がする。これから、このひとも、僕等の仲間に引張りこむから、承知しておいてくれよ。」

秦はなにか腑に落ちないような面持ちで、ただ頷いた。

波多野はグラスを幾杯かあけた。千枝子もそれに応ずるようにコップをあけた。

波多野は立ち上った。

「今晩は、僕はこれで失礼するよ。君達はゆっくりしていってくれ。大田にそういっておくから。」

それから後は千枝子を顧みた。

「さあ行きましょう。」

二人はあわただしく出て行った。外は月夜だった。――彼等はそれから、自宅まで三キロほどの道を歩いていったらしい。

彼等が出て行くと秦はふいに言い出した。

「似ている。なんだか似ている。」

「何が似ているんだい。」

秦は遠いことを考えるような調子で、ぽつりと言った。

「柳丹永。」

魚住千枝子が柳丹永に似ているかどうか、そんなことは別として、柳丹永のことが夢の中のように私の頭に浮んだ。