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めんせきのあつみ

面積の厚み

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《面積の厚み(めんせきのあつみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,111 字 · 15 頁

青空文庫

彼女自身にとっては尊い名誉心を傷(そこな)われた不平と、一種の公憤に心を乱された彼女は、陰気な顔をして無言のまま、席に復すほかなかったのである。

自分さえ正しければ、何が来たって逃げまいと決心しながらも、若し母が今ここにいてさえくれたらと思うと、急に悲しくなって、危く涙が零(こぼ)れそうになった。

ところが、同じ日の昼の休時間のことである。

廊下の隅で、日向ぼっこをしていた彼女のところへ、当番だった三崎さんと云う子が来て、

「伊那田さん、飛田さんがどうかして先生に叱られてるのよ」

と云いながら、直ぐ傍に並んで腰をかけた。少し頭の足りない飛田さんが、口をあけてニコニコしながら、何か怒っている先生の顔を見ていたとか、

「もう少し立つと、きっとあの人指をしゃぶり出すに違いないわ。まるで赤ちゃんみたいにしゃぶるんだもの、可笑しいわ、私もう一遍行って見て来ようかしら」

などと云いながら、まるで何か嬉しいことに出会ったように、ハアハア、ハアハア云って笑った。

「何故叱られたの」

「何故なんだか私知りゃあしないわ、だけどさっき高山さんが云ってたわ」

「なんて」

「いや、私。