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かばんらしくないかばん

鞄らしくない鞄

海野 十三

線上閱讀海野 十三《鞄らしくない鞄(かばんらしくないかばん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,653 字 · 73 頁

青空文庫

秘密地下室

省線田端駅を下りて西側に入り、すぐ右手の丘をのぼり切るとそこに目賀野邸があった。

鞄を護衛した目賀野たちの自動車が、邸内に滑りこんだ。

玄関にとびだして来た書生が三名。自動車の扉が明いて、ぴょんととび下りたは目賀野であった。

「さあ、こっちへ寄越せ」

と、目賀野が伸ばす手に、車内から続いて現われた臼井が例の鞄を手渡す。

「おい臼井。お前だけ、わしについて来い。外の奴は、邸のまわりを厳重に警戒して居れ」

目賀野はそういいすてて、鞄を大事に片手にぶら下げて、どんどん奥へ入っていった。臼井は遅れまいと、そのあとを追う。

自動車から最後に下りた草枝と千田が、顔を見合わせてにやりと笑った。二人は連れ立って、別の小玄関から上にあがった。

目賀野は、廊下をどんどん鳴らして、奥へ奥へと入っていった。一等奥に、洋間があった。彼はポケットから鍵束を出して鍵を探していたが、やがてその一つを鍵穴に入れて廻した。

重い扉は、始めて開いた。

目賀野は鞄を持って、中へ入った。

「臼井。うしろを閉めろ」

「はい」

扉が閉められた。と、自動式に錠がぴしんと掛った。

この洋間には、窓が一つもなかった。