輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《顎十郎捕物帳(あごじゅうろうとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,783 字 · 22 頁

青空文庫

庄兵衛の娘の花世。四十になってからのひとりっ子なので、まるで眼のなかへでも入れたいような可愛がりよう、普断ならば、寄って来られただけで、もう他愛なくなってしまうほどなのに、今日はどういう風の吹きまわしか、花世がそばにいるのさえ気づかぬ様子である。

庭には季節の花がある。

こうして矢たてや懐紙をひきつけているところは、下手な俳諧でもひねっているように見えるが、どうして、そんな細かい味をもったおやじではない。このごろ、江戸の市中を騒がしているかまいたちの事件を苦吟中なのである。

この月のはじめから、江戸の市中に不思議な事件が起きる。どうにもとらえどころのない事件で、それだけに江戸の人士を竦みあがらせている。

一日ずつあいだをおいて、続けざまに五人まで、の深く咽喉を斬られて街上に倒れていた。

最初の犠牲者は本所猿江の金持の隠居で、新湊稲荷のまえに俯ぶせに倒れていた。門跡様からの帰りであった。二十両余りの金を懐中にしていたが、それもそのまま残っていた。ほかにもなにひとつ失くなったものはない。

それから、一日おいて次の夜、佐竹の家臣で、相当腕のたつ武士が、これもやはり、同じように咽喉を斬られ、越前堀の『船松』