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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《顎十郎捕物帳(あごじゅうろうとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,248 字 · 27 頁

青空文庫

ようすもない、まるで、笑ってるような顔で死んでいるんです……」

藤波は、底意ありげな含み笑いをして、

「ふん、あの仏にしちゃ、おかしかろう」

千太は、うなずいて、

「まったく、あの毒虫にしちゃ、もったいねえような大往生で、みなも、呆気にとられたくれえなんでございますよ」

「あんなのを、女郎蜘蛛とでもいうのだろうの。蕩らしこんじゃア押しかけて行って金にする。それも、ちっとやそっとの額じゃ、うんとは言わねえ。……千賀春が死んだときいたら、ほっとするむきア、三五人じゃきかねえだろう。……それにしても、都合のいい時に死んだもんだの。すりゃア、まるで、ご注文だ」

「ですから、その辺のところは、実にうまくしたもんだというんです。……そりゃア、ともかく、なるほど評判だけあっていい器量だ。引起したところを見て、さすがのあっしも……」

「惚れ惚れと、見とれたか」

へへへ、と髷節へ手をやって、

「いや、まったく……あれじゃ、だれだって迷います。罪な面だ」

広蓋へ小鉢物と盃洗をのせて持ち出して来た小間使へ、用はないと手を振って、

「……だが、たったひとつ、難がある」

盃のしずくを切って、千太につぎながら、