輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《顎十郎捕物帳(あごじゅうろうとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,327 字 · 43 頁
「そうだよ、は泣かせるね。……こんなことなら、いっそ初ッから頼りにするんじゃなかった。……当にしていたばっかりに、あっしの方はてんで持駒なし。……あっしのほうはどうしてくれるんです」
顎十郎は、ちょいと凧の糸をあしらってから、
「……ほう、藤波がそんな早いことをやったか。……それにしても、そんな子供までひきあげたのは、どういう経緯のあることなんだ」
ひょろ松は、顎十郎のそばへしゃがみながら、
「……つまり、御用金が金座から出た朝、凧をあげたのは、その子供ひとりだったんで……」
「それが、どうしたというんだ」
「……ご承知のように、御用金が金座を出たのが朝の六ツ刻。……ところが、左内のせがれの芳太郎というのが、それから半刻ほど前に長屋の空地で、たったひとりで凧をあげていた。……いくら好きでも、六ツといえば夜があけたばかり。……そういう時刻に凧をあげるのはおかしい。……ところで、芳太郎の父親の左内はお金蔵方。……藤波の推察じゃ、これから間もなく金座から御用金が出るということを、子供のからす凧でそとの一味に合図したのにちがいない……」
「ふ、ふ、ふ」
「藤波が言うには、毎年のきまりで、節季の御用金が間もなく川便で勘定所へ差しおくられることはわかっている。