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かぜ

風

壺井 栄

線上閱讀壺井 栄《風(かぜ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,702 字 · 78 頁

青空文庫

空腹をおぼえると、辻の焼芋屋でそれを買って食べた。小さな家、小さな家とさがしているうち、けっきょく、茂緒たちの家と近い世田谷の太子堂の森のかげに、手ごろな家を見つけ、さっそく家主をたずねて約束した。六畳と三畳二間の二軒長屋が二棟ならんで立っていた。Nはたった一度書いたことのある「中央公論」を用意していてそれを見せ、信用させた。家はまだ畳建具も入っていない新築だったが、気の早いNは、今いる家で、息子が嫁を迎えるため、今日にも出なければならないと嘘をいい、早く畳を入れてくれといった。

「すかす壁の上塗りもまだでしからね、なんでしてから、できるまで別の借家にお入りになっていませんでしか。」

別の借家は通りに面した商店むきの広い土間のある二階家だった。二階六畳と下は三畳一つのその長屋へ、N夫婦はその日に移った。茂緒たちも手伝った。前家賃に苦労したらしく、Nはすぐ本を大きな風呂敷包みにして売りにいった。こまぎれ二十銭の牛肉で転宅祝いをしながら、扶佐子はしきりと茂緒をさそった。新しい方の家へ一しょに越そうというのだ。

「ね、となりどうしで暮しましょうよ。いいじゃないの。