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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁
彼女はすさみきっていた。彼女はオメカケになっていた。オメカケというよりも売娼婦、それも最もすさみはてた夜鷹、そういう感じで、私は正視に堪えなかったのである。その後、実際に、そういう生活におちたというような噂をきいた。
庄吉は夢をつくっていた人だ。彼の文学が彼の夢であるばかりでなく、彼の実人生が又、彼の夢であった。
然し、夢が文学でありうるためには、その夢の根柢が実人生に根をはり、彼の立つ現実の地盤に根を下していなければならない。始めは下していたのである。だから彼の女房は夢の中に描かれた彼女を模倣し、やがて分ちがたく似せ合せ、彼等の現実自体を夢とすることができたのだ。
彼の人生も文学も、彼のこしらえたオモチャ箱のようなもので、オモチャ箱の中の主人公たる彼もその女房も然し彼の与えた魔術の命をもち、たしかに生きた人間よりもむしろ妖しく生存していたのである。
私は然し、彼の晩年、彼のオモチャ箱はひっくりかえり、こわれてしまったのだと思っている。彼の小説は彼の立つ現実の地盤から遊離して、架空の空間へ根を下すようになり、彼の女房も、オモチャ箱の中の女房がもう自分ではないことを見破るようになっていたのだ。