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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁
あげくに、お人好しの中島健蔵などへ、ヤイ金をかせ、と脅迫に行くから、健蔵は中也を見ると逃げだす始末であった。
その年の春、私は一ヶ月あまり京都へ旅行した。河上の紹介で、そのころまだ京大の学生だった大岡昇平が自分の下宿へ部屋を用意しておいてくれたが、そのとき加藤英倫と友達になった。彼は毎晩、私を京都の飲み屋へ案内してくれて、一週間ほど神戸へも一緒に旅行した。加藤英倫も京大生で、スエデン人の母を持つアイノコで、端麗な美貌であるから、京都も神戸も女友達ばかり、黒田孝子という女流画家の可愛い女に惚れられており、この人は非常に美人であったが、英倫はさのみこの人を好んでいるようでもなく、神戸の何とかいう、実にまずい顔の、ガサツ千万な娘になんとなく惚れるような素振りであった。外見だけであったかも知れぬ。彼はセンチメンタル・トミーであった。
これは蛇足だが、この神戸の旅行で、私はヘルマンの廃屋とかいう深山の中腹の五階建かの大洋館へ案内された。ヘルマン氏は元来マドロスか何かで、貧乏なのんだくれであったが、兄が大金満家で、これが死に、遺産がころがりこんで一躍大金持になったのだそうで、そこでここに大邸宅をつくり、五階の上に塔をたて、この塔の中に探照燈を据えつけ、自分の汽車が西の宮駅へつくと、山の中腹の塔の上から探照燈をてらす