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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁

青空文庫

私はそのころラディゲの年齢を考えてほろ苦くなる習慣があった。ラディゲは二十三で死んでいる。私の年齢は何という無駄な年齢だろうと考える。今はもう馬鹿みたいに長く生きすぎたからラディゲの年齢などは考えることがなくなったが、年齢と仕事の空虚を考えてそのころは血を吐くような悲しさがあった。私はいったいどこへ行くのだろう。この汽車の旅行は女が私を連れて行くが、私の魂の行く先は誰が連れて行くのだろうか。私の魂を私自身が握っていないことだけが分った。これが本当の落伍者だ。生計的に落魄し、世間的に不問に附されていることは悲劇ではない。自分が自分の魂を握り得ぬこと、これほどの虚しさ馬鹿さ惨めさがある筈はない。女に連れられて行先の分らぬ汽車に乗っている虚しさなどは、末の末、最高のものを持つか、何物も持たないか、なぜその貞節を失ったのか。然し私がこの女を「所有しなくなる」ことによって、果してまことの貞節を取戻し得るかということになると、私はもはや全く自信を失っていた。私は何も見当がなかった。私自身の魂に。そして魂の行く先に。

★

私は「形の堕落」を好まなかった。