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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁
すぐれた娼婦は芸術家の宿命と同じこと、常に自ら満たされてはいけない、又、満たし得る由もない。己れは常に犠牲者にすぎないものだ。
芸術家は――私はそこで思う。人のために生きること。奉仕のために捧げられること。私は毎日そのことを考えた。
「己れの欲するものをささげることによって、真実の自足に到ること。己れを失うことによって、己れを見出すこと」
私は「無償の行為」という言葉を、考えつづけていたのである。
私は然し、私自身の口によって発せられるその言葉が、単なる虚偽にすぎないことを知っていた。言葉の意味自体は或いは真実であるかも知れない。然し、そのような真実は何物でもない。私の「現身」にとって、それが私の真実の生活であるか、虚偽の生活であるか、ということだけが全部であった。
虚しい形骸のみの言葉であった。私は自分の虚しさに寒々とする。虚しい言葉のみ追いかけている空虚な自分に飽き飽きする。私はどこへ行くのだろう。この虚しい、ただ浅ましい一つの影は。私は汽車を見るのが嫌いであった。特別ゴトンゴトンという貨物列車が嫌いであった。線路を見るのは切なかった。目当のない、そして涯のない、無限につづく私の行路を見るような気がするから。