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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁

青空文庫

実質的に――自信はそれ以外にごまかす手段のないものだった。

食器に対する私の嫌悪は本能的なものであった。蛇を憎むと同じように食器を憎んだ。又私は家具というものも好まなかった。本すらも、私は読んでしまうと、特別必要なもの以外は売るようにした。着物も、ドテラとユカタ以外は持たなかった。持たないように「つとめた」のである。中途半端な所有慾は悲しく、みすぼらしいものだ。私はすべてを所有しなければ充ち足りぬ人間だった。

★

そんな私が、一人の女を所有することはすでに間違っているのである。

私は女のからだが私の部屋に住みこむことだけ食い止めることができたけれども、五十歩百歩だ。鍋釜食器が住みはじめる。私の魂は廃頽し荒廃した。すでに女を所有した私は、食器を部屋からしめだすだけの純潔に対する貞節を失ったのである。

私は女がタスキをかけるのは好きではない。ハタキをかける姿などは、そんなものを見るぐらいなら、ロクロ首の見世物女を見に行く方がまだましだと思っている。部屋のゴミが一寸の厚さにつもっても、女がそれを掃くよりは、ゴミの中に坐っていて欲しいと私は思う。