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ガドルフのゆり

風の又三郎

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《風の又三郎(ガドルフのゆり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,150 字 · 48 頁

青空文庫

手元の金子は、すべて、只今ご用立致しております」

「いやいや、拙者が借りようと申すのではない。どうじゃ。金貸しは面白かろう」

「へい、御冗談、へいへい。御意の通りで」

「拙者に少しく不用の金子がある。それに遠国に参る所じゃ。預かっておいてもらえまいか。もっとも拙者も数々敵を持つ身じゃ。万一途中相果てたなれば、金子はそのままそちに遣わす。どうじゃ」

「へい。それはきっとお預かりいたしまするでございます」

「左様か。あいや。金子はこれにじゃ。そち自ら蓋を開いて一応改めくれい。エイヤ。はい。ヤッ」さむらいはふところから白いたすきを取り出して、たちまち十字にたすきをかけ、ごわりと袴のもも立ちを取り、とんとんとんと土手の方へ走りましたが、ちょっとかがんで土手のかげから、千両ばこを一つ持って参りました。

ははあ、こいつはきっと泥棒だ、そうでなければにせ金使い、しかし何でもかまわない、万一途中相果てたなれば、金はごろりとこっちのものと、六平はひとりで考えて、それからほくほくするのを無理にかくして申しました。

「へい。へい。よろしゅうござります。御意の通り一応お改めいたしますでござります」