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くびがおちたはなし
首が落ちた話
線上閱讀芥川 竜之介《首が落ちた話(くびがおちたはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,634 字 · 16 頁
「面白いだろう。こんな事は支那でなくっては、ありはしない。」
「そうどこにでもあって、たまるものか。」
山川技師もにやにやしながら、長くなった葉巻の灰を灰皿の中へはたき落した。
「しかも更に面白い事は――」
少佐は妙に真面目な顔をして、ちょいと語を切った。
「僕はその何小二と云うやつを知っているのだ。」
「知っている? これは驚いた。まさかアッタッシェの癖に、新聞記者と一しょになって、いい加減な嘘を捏造するのではあるまいね。」
「誰がそんなくだらない事をするものか。僕はあの頃――屯の戦で負傷した時に、その何小二と云うやつも、やはり我軍の野戦病院へ収容されていたので、支那語の稽古かたがた二三度話しをした事があるのだ。頸に創があると云うのだから、十中八九あの男に違いない。何でも偵察か何かに出た所が我軍の騎兵と衝突して頸へ一つ日本刀をお見舞申されたと云っていた。」
「へえ、妙な縁だね。だがそいつはこの新聞で見ると、無頼漢だと書いてあるではないか。そんなやつは一層その時に死んでしまった方が、どのくらい世間でも助かったか知れないだろう。」
「それがあの頃は、極正直な、人の好い人間で、捕虜の中にも、あんな柔順なやつは珍らしいくらいだったのだ。