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こうだいじ
高台寺
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《高台寺(こうだいじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,503 字 · 14 頁
章子自身それを心得てうわてに笑殺しているのであろうが、ひろ子は皆が寄ってたかって飽きもせずそれをアハアハ笑い倒しているのを見るといい気持がしなかった。ひろ子は先へ自分だけ二階に引かえした。そこここに着物の散らばっている座敷の床柱に靠れ、皆の戻って来るのを待ちつつひろ子はこの気持を章子に話すときを想像し、渋甘い微笑を一人洩した。章子は一応、
「そんなの偏狭さ」
と云うに定っているから。
翌々日は日曜日であった。蒔絵を観るため、彼等は高台寺へ行った。蒔絵のある建物が裏山の中腹にあって、下から登龍の階と云うのを渡って行くようになっていた。遠洲の案とかで、登ってゆくときには龍の白い腹だけ、降りには龍の背を黒く踏んで来るように、階段の角度が工夫してあるのであった。
満足もしない心持で寺を出たが、ぶらぶら歩きながら頭の中へ浮ばせて見ると、登龍の階でも、それを工夫した人間の感興が却って実物を見ているときより理解されるような気がした。やや湿っぽい山気、松林、そこへ龍を描こうとする着想は、常時生気あるものであったに違いない。然し平等院の眺めでさえ、今日では周囲に修正を加えて一旦頭へ入れてからでないと、心に躍り込んで来る美が尠い。